浅井地域
水稲共同一斉防除


ヘリ防除
まだ薄暗い朝の5時、散布はスタートします!


長浜市浅井地区では、毎年8月上旬に、水稲共同一斉防除があります。
約10年ほど前までは有人ヘリコプターでの農薬散布でしたが、
現在では、ラジコンヘリコプター(産業ヘリ・無人ヘリ)による散布方法に変わりました。

浅井地区水稲面積約800ヘクタールを6機で5日間で散布します。


カメムシ 斑点米
なぜ、防除するかというと、穂に養分が溜まりはじめる登熟期に左の写真のような害虫がたかってくるからです。

この害虫、カメムシといいますが、これがやっかいな虫で、
モミに針のような口を差込み、中のモミ汁を吸い上げます。

すると、モミの吸い込み口がカビになり、右のようにお米に斑点ができるのです。

現在のお米の検査基準では、斑点米(着色粒)が
1,000粒に1つ以内が1等、
2から7つが2等
8つ以上が3等
と定められ、JA出荷等では等級が1等下がるごとに
1俵(60kg)あたり約1,000円
買い上げ価格が下がってしまうのです。

なぜ、斑点米が多いと単価が下がるかというと、右上の写真は、精米後、
着色粒を取り除く色彩選別機にかけたものですが、
現在の機械では着色粒を取り除く際、着色粒の周りの米も一緒にエアで一緒にはじかれてしまうので、
着色粒が多いほど、キズのない整粒も数多く飛んでしまい、
精米業者にとっては歩留まりの悪い、やっかいな米とされてしまうからです。

※山に囲まれた浅井地域はカメムシ被害が深刻で
平成17年産の1等比率が40%と他地区に比べ低いものでした。


上記のようなことで、お米の実がつまりかけたこの時期に、
みんなで一斉に防除して害虫を駆除して斑点米を無くそうというのが共同防除です!


本年度使用薬剤
薬剤
スタークル(別名アルバリン)
本年度から、水稲防除農薬に登録されたもので、
稲体に害虫の抵抗性を持たせるという、
これまでの害虫にかけて駆除するタイプとは違うもの
※害虫はどんどんと農薬に対する抵抗性をつけてくるので、
毎年様々な薬剤が試験、開発されいます。

アルバリンについては、
http://www.greenjapan.co.jp/arubarin.htm


実際の産業ヘリ(無人ヘリ)での散布の様子!


散布は朝5時からスタート!

あらかじめ日程、散布場所は浅井地区防除協議会(市、JA、集落)で事前に協議され、各集落に通知されています。


使用ヘリはヤンマー YH-300

農薬を霧状にして、ヘリ特有のダウンウォッシュ(下に叩きつける風)により、
確実にイネに農薬を散布します。

※ヘリを操作するには産業用無人ヘリコプターの認定証が必要です。


積み込み 確認
積み込み
無人へり散布も7年目になる浅井地区では、作業員(集落の農業改良組合長等)さんも慣れておられ、
農薬・燃料の積み込みもスムーズです。

この作業がF1のピット作業のように重要で、作業時間の短縮や、
オペレーターの集中力の維持につながります。


エンジン始動
モニター
機体のコンピュターが起動したら、実際にプロポ(送信機)どおりに、サーボが動くのを確認します!

確認要領
ピッチ ハイ、ロー、ハイ、ロー、
エルロン 右、左、右、左、
エレベーター、前、後ろ、前、後ろ、
ラダー、右、左、右、左、
エンコン、ハイ、スローハイ、スロー、エンコントリムよし!
燃料5リッター、薬剤16リッター

といった具合いです


その後、セルモータでエンジンをかけ、始動したのち、
機体側面にあるモニターで、安定装置や、GPSが正常に作動しているか確認します


離陸
田んぼへ
機体から約15mほど離れ、合図マン共に前後、左右の安全確認をした後、
エンジン回転をあげ、離陸します。

そして、田んぼへ


枕時散布
YH-300
枕時散布
まずは、オペレーターに農薬がかからないように、農道に沿って2,3枚(40〜60m)ほど、散布します。
これを枕地散布といいます。

散布高度や、散布幅、散布速度は、基本(無風状態)では、
高度、作物から3〜4m、
散布幅7,5m、
速度10〜20mです。


私の場合は、高度はバスの天井の高さ、横移動7歩、速度は駆け足と体に覚えこませています。


次に田んぼの向かいの100m先の土手までの散布です。
前後進散布といいます。

前後進散布
前後進散布
前後進散布
前後進散布 前後進散布 前後進散布
飛行中は常に合図マンと無線交信しています。
合図マンは向かいの畦のライン上に立ってもらい、
速度や、高度、畦までの距離をコールしてもらいます。
また、畦端に電線や、木等の障害物が無いかを確認してもらいます。


交信内容は、
半分通過、速度よし、高さよし、
10m、5m、通過、散布スタート!

といった感じです。


合図マン
今年の合図マンは大学生の従弟にやってもらいました
合図マンの仕事はオペレーターへのコール、散布図面の確認、
風速測定、散布記録等結構大変で重要です。
墜落事故が起きるのも合図マン次第といっても過言ではありません。
また、時々草の刈ってない朝露でベトベトになった畦を歩くのも大変ですしね!


1回16リッターの薬剤で2ヘクタール分散布できます。
1回のフライト時間は10〜20分です。

1日平均20〜30ヘクタール、
作業時間は田んぼの条件により3時間〜6時間です。




2006/08/10 快晴


朝露 YH-300
ローター YH-300 朝日
アドマイザープロポ燃料タンク
おーい! プロポ
ヘリの積み込み
なすさん、暑い中、朝早くから撮影ありがとうございましたm(__)m



作業風景撮影  湖北地域振興局農産普及課:那須大城氏
http://www.pref.shiga.jp/nagahama-pbo/nogyo/


 
 現在443営農では、
ヤマハ製産業用無人ヘリコプターR-MAXを使用しています


実散布フライト動画
※短いですがアップしてみました!2012年、最初の実散布フライトです!
http://www.youtube.com/watch?v=za74CpPdIwY&feature=youtu.be


ヤマハ 産業用無人ヘリコプター ホームページ
http://www.yamaha-motor.jp/sky/ 
 

仕事が高じて趣味になったラジコンヘリの話



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